「長く残る=良い治療」ではない|ヒアルロン酸注射を論文ベースで考える
美容医療においてよく語られるテーマのひとつに、 「ヒアルロン酸注射はどれくらい持つのか」「永久的に近づけることはできるのか」 という疑問があります。
本記事では、YouTube上の医師による解説動画を参考にしつつ、 その内容を鵜呑みにするのではなく、 医学論文をもとに「どう考えるべきか」という視点から整理します。
※本記事は特定の動画や医師を批評・否定する目的ではなく、 美容医療を選択する際の判断軸を共有することを目的としています。
ヒアルロン酸注射は本来「一時的な治療」である
ヒアルロン酸フィラーは、もともと体内に存在する物質を利用した治療であり、 時間の経過とともに分解・吸収されていくことが前提とされています。
多くの臨床研究やレビューでは、 一般的な効果持続期間は数か月〜1、2年程度と報告されています。
この点を理解せずに「一度入れれば終わりの治療」と捉えると、 期待と現実のズレが生じやすくなります。
一部で報告されている「長期残存」という事実
一方で、MRIを用いた観察研究などでは、 ヒアルロン酸フィラーが2年以上、場合によってはそれ以上検出された とする報告も存在します。
これは、
- 製剤の特性
- 注入部位の解剖学的条件
- 個人差
などによって、体内での分解速度が異なる可能性を示唆しています。
ただし、これらは症例数の限られた観察研究が中心であり、 「永久的に安全に残る」ことを証明するものではありません。
「永久性」を求めることのリスク
美容医療において注意すべき点は、
長く残る治療ほど、修正が難しくなる
という事実です。
- 過剰注入や左右差が出た場合の修正困難
- 遅発性合併症への対応
- 加齢による顔貌変化とのミスマッチ
こうしたリスクは、 「持続性」だけに注目していると見落とされがちです。
論文から見えてくる、現実的な結論
現在の医学的エビデンスを総合すると、
- ヒアルロン酸が想定より長く残る場合があることは事実
- しかし永久性を保証できる治療ではない
- 安全性・可逆性を含めて評価する必要がある
というのが、最も現実的な結論です。
美容医療の「考え方」として大切なこと
美容医療は、
- どれだけ長く効果が続くか
- どれだけ変化が大きいか
だけで選ぶものではありません。
・修正できる余地があるか ・将来の変化に対応できるか ・リスクを理解した上で納得して選べるか
こうした視点を持つことが、 長期的に満足度の高い美容医療につながります。
まとめ
- ヒアルロン酸注射は本来「一時的な治療」
- 一部では長期残存が報告されているが、永久性を示す証拠ではない
- 美容医療では「長持ち」より「判断軸」が重要
情報があふれる時代だからこそ、 科学的根拠と冷静な視点を持って治療を選ぶことが大切です。
参考文献(References)
- Sundaram H, et al.
Clinical durability of hyaluronic acid-based dermal fillers: A systematic review.
Dermatologic Surgery. 2010.
Master M, Roberts C.
Hyaluronic Acid Filler Longevity
※本記事は医学論文および公開情報をもとにした一般的な情報提供を目的としています。 特定の治療効果を保証するものではありません。 治療の適否については、必ず医師にご相談ください。


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