第2回:筋肉はなぜ削られるのか ― カタボリックの正体

ダイエット中に体重が減ったとき、
その中身が「脂肪だけ」だと思っている人は少なくありません。

しかし実際には、多くの減量で
筋肉は想像以上に簡単に削られています。

本記事では、
筋肉が削られる本当の理由=カタボリックの正体を整理し、
なぜ「守れる減量」と「削る減量」が分かれるのかを解説します。


「食べなければ筋肉が減る」は半分正解、半分誤解

筋肉が減る理由として、よく次のように説明されます。

  • エネルギーが足りないから
  • 栄養が不足しているから
  • タンパク質が足りないから

これらは間違いではありません。 しかし、それだけでは説明がつかない現象があります。

例えば、

  • 同じカロリー赤字でも筋肉が減る人と減らない人がいる
  • 十分なタンパク質を摂っていても筋肉が落ちる
  • 短期間で急激に筋量が落ちる

これを理解する鍵が、
カタボリックの「種類」です。


カタボリックには2種類ある

筋肉が分解される状態は、すべて同じではありません。

大きく分けると、次の2種類があります。

① エネルギーカタボリック

エネルギー不足により、
身体が「材料」として筋肉を使う状態です。

  • 長期間の強いカロリー赤字
  • 極端な糖質不足
  • 回復不足のままの運動

この場合、筋肉は
エネルギー源として消費されます。

② シグナルカタボリック

こちらが、多くの人が見落としているタイプです。

エネルギーが致命的に不足していなくても、
身体が

「この筋肉は今、必要ない」

と判断したとき、筋分解は起こります。

これをシグナル(情報)によるカタボリックと呼びます。


筋肉は「使われない」と削られる

筋肉は、貯蔵器官ではありません。

身体にとって筋肉は、

  • 重い
  • 維持コストが高い
  • エネルギーを消費する

非常に贅沢な組織です。

そのため、

  • 強い刺激が入らない
  • 合成シグナルが弱い
  • 回復環境が悪い

これらが揃うと、
身体は迷いなく筋肉を減らします。


「守れる減量」と「削る減量」の分岐点

同じように体重を減らしていても、
結果が大きく分かれるのはこの部分です。

筋肉を削る減量

  • 体重のみを評価指標にする
  • 摂取量をひたすら減らす
  • トレーニング出力が下がる
  • 疲労が抜けない

筋肉を守れる減量

  • 筋力・出力を最優先指標にする
  • 赤字は小さく、長く
  • 刺激と回復を切らさない
  • 生活が破綻しない

重要なのは、
筋肉を守るのは「栄養量」だけではないという点です。

必要なのは、

  • 使われているという情報
  • 維持する価値があるという信号

これらを身体に送り続けることです。


まとめ

筋肉が削られる理由は、単なるカロリー不足ではありません。

エネルギー不足と、
「不要だ」というシグナルが重なったとき、
筋分解は加速します。

減量で本当に重要なのは、

  • 何を減らしているのか
  • 身体にどんな情報を送っているのか

これを理解した時点で、
もう「なんとなく筋肉が落ちる減量」には戻れません。


次回は、
「脂肪はいつ、どの条件で本当に減るのか」
脂肪分解と脂肪減少の違いを整理します。

段階筋肉が削られる減量筋肉が守られる減量
目標とにかく体重・摂取カロリーを下げる筋肉を維持したまま脂肪を減らす
指標となるメルクマーレ摂取カロリー、体重の減少幅トレーニング重量、回復感、
筋量、体調
結果として見えること体重は減るが、
筋力低下・疲労感が増大する
体重変化は緩やかだが、
筋力は維持されやすい
長期的な弊害筋量減少、基礎代謝低下、
減量耐性の悪化
大きな弊害は少なく、
減量の再現性が高い
理解すべき項目カタボリックは
「不足量」ではなく
「不足の質と期間」で決まる
筋分解は制御可能であり、
設計次第で回避できる

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