第10回|なぜ断食ダイエットはリバウンドするのか
断食ダイエットは、なぜこれほどまでに「効いた気がする」のに、ほぼ確実にリバウンドするのでしょうか。
それは意志の弱さでも、知識不足でもありません。 問題は体重という数字だけを見て、体の設計変化を見ていないことにあります。
① リバウンド直後に起きている「体重増加」の正体
断食後に体重が急激に戻ると、多くの人は「脂肪が一気についた」と感じます。 しかし、最初に増える体重の大半は脂肪ではありません。
- 水分:糖質再摂取によりグリコーゲンが回復し、水を抱え込む
- 腸内容物:食事量の回復による物理的増加
- 行動:断食中に低下したNEATが戻らない
この段階では、体はまだ「脂肪を増やしている」のではなく、 失ったものを元に戻しているだけです。
② 本当に問題なのは「時間差で始まる脂肪蓄積」
問題はここからです。
断食によって体は、次のような状態に置かれています。
- コルチゾールが高い
- 甲状腺ホルモン(T3)が低い
- レプチンが低下したまま
- NEATが抑制されたまま
この状態で食事を再開すると、体はこう判断します。
「また不足するかもしれない。今のうちに蓄えよう」
その結果、摂取エネルギーは回復や筋合成ではなく、脂肪蓄積に優先配分されます。 これが「少し遅れてやってくる本当のリバウンド」です。
③ ホルモンが“戻らない”理由
多くの人は「食べればホルモンは元に戻る」と考えています。 しかし、ホルモンは単なる栄養反応ではありません。
ホルモンは「この環境は安全か?」という判断結果です。
- レプチン:十分なエネルギーが“継続的に”あるか
- 甲状腺ホルモン:燃やしても問題ないか
- 性ホルモン:成長・回復を許可できるか
断食によって一度「生存モード」に入った体は、 短期間の摂取再開では判断を変えません。
その結果、
- 食欲は強いまま
- 代謝は低いまま
- 回復力は戻らないまま
という最も太りやすい組み合わせが完成します。
④ 「意志が弱くなった」と感じる正体
断食後、多くの人がこう感じます。
「前より食欲を抑えられない」 「やる気が出ない」 「続けられない自分が悪い」
しかし実際には、 行動を制御するホルモンと、要求してくるホルモンが噛み合っていないだけです。
これは精神論では解決しません。 体の設計が変わってしまっているからです。
⑤ 断食を「卒業すべき」判断軸
断食が機能しているかどうかは、体重では判断できません。 次のサインが出ているなら、断食はすでに役目を終えています。
- 自然な活動量(NEAT)が落ちたまま
- 食欲が安定しない
- 睡眠・回復が悪い
- 冷えや疲労感が強い
この状態で続けるほど、 「痩せにくく、太りやすい体」へと設計が固定されます。
⑥ 断食を使わない減量設計とは
本当に必要なのは、エネルギーを断つことではありません。
- mTORが定期的に入る
- NEATが自然に動く
- ホルモンが「安全」と判断できる
この条件を満たした状態で、 「わずかな不足」を長く続けること。
それが、体重ではなく体組成が変わる減量です。
まとめ|リバウンドは失敗ではない
断食ダイエットのリバウンドは、失敗ではありません。
体が正しく生き残ろうとした結果です。
だからこそ重要なのは、
「もっと頑張る」ことではなく 「正しく終える」こと
断食を卒業し、 痩せ続けられる設計に戻すこと。 それがこのシリーズの結論です。
第10回|理解項目まとめ表(リバウンドの構造と卒業判断軸)
| 項目 | 断食直後に起きること | 時間差で起きること | 本質的な理解 |
|---|---|---|---|
| 体重増加① 水分 | ・糖質再摂取 ・グリコーゲン回復 | 数日で急増 | 最初に戻るのは水 脂肪ではない |
| 体重増加② 行動 | ・NEATが低いまま | 消費が戻らない | 「食べてないのに太る」の正体 |
| 体重増加③ 脂肪 | ・コルチゾール高 ・インスリン感受性低下 | 脂肪優先で蓄積 | 体は回復より防衛を選ぶ |
| レプチン | 低下したまま | 回復が遅い | 満腹感が戻らない |
| グレリン | 高値維持 | 食行動が荒れる | 意志では制御不能 |
| 甲状腺(T3) | 抑制されたまま | 代謝回復が遅延 | 痩せる許可が出ていない |
| 性ホルモン | 回復後回し | 体型が戻らない | 見た目ダメージの核心 |
| 「意志が弱い」と感じる理由 | ホルモン不一致 | 行動と体が噛み合わない | 問題は精神ではない |
| 断食卒業の判断軸 | ・NEATが自然に動かない ・食欲が安定しない ・回復・睡眠が悪い → その時点で断食は役目終了 | ||
| 代替となる減量設計 | ・エネルギー不足を作りすぎない ・mTORを定期的に入れる ・NEATと回復を優先 → 体重より「設計」を整える | ||

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