第6回|コルチゾール ― 頑張るほど太る理由
「ちゃんと我慢しているのに、なぜか痩せない」
「食べていないのに、お腹だけが落ちない」
この矛盾の中心にあるのが、 コルチゾールです。
第6回では、
- コルチゾールは何を守るホルモンなのか
- なぜ断食や努力が脂肪蓄積につながるのか
- 睡眠・回復不足が内臓脂肪を作る理由
を、精神論ではなく生理構造で理解します。
コルチゾールの本来の役割
コルチゾールは、一般に
「ストレスホルモン」
と呼ばれますが、 本質は違います。
コルチゾールの本来の役割は、
「エネルギー不足・危機状態で生存を維持する」
ことです。
具体的には、
- 血糖値を維持する
- 筋肉や組織を分解して材料を作る
- 回復や成長を後回しにする
つまり、 断食はコルチゾールを上げる条件 そのものです。
断食・過度な努力がストレスになる理由
体にとってストレスとは、
「心理的につらいかどうか」
ではありません。
体がストレスと判断するのは、
- エネルギー不足
- 睡眠不足
- 回復不足
- 慢性的な緊張
です。
断食中に、
- 活動量を維持しようとする
- 運動を無理に重ねる
- 睡眠を削る
これらはすべて、 コルチゾールを慢性的に押し上げます。
慢性コルチゾールと脂肪蓄積
短期的なコルチゾール上昇は、 適応として正しい反応です。
問題になるのは、
「慢性的に高い状態」
です。
慢性コルチゾール状態では、
- 脂肪分解が抑制される
- インスリン感受性が低下する
- 内臓脂肪への取り込みが優先される
特に内臓脂肪は、 コルチゾール受容体が多い という特徴があります。
結果として、
「頑張っているのに、お腹だけ残る」
という現象が起きます。
睡眠・回復不足が太る理由
睡眠は、
- コルチゾールを下げる
- 成長ホルモンを分泌する
- mTOR優位に戻す
ための、 最重要リセット時間です。
睡眠不足が続くと、
- コルチゾールが下がらない
- 回復が起きない
- 体は常に「危機モード」
になります。
その結果、
脂肪は「蓄えて守るもの」へと扱われる
のです。
「努力=正義」が通用しない理由
ここまでの内容をまとめると、
断食 × 高ストレス × 低回復
は、
- AMPK優位
- mTOR抑制
- コルチゾール慢性上昇
という、 「痩せにくく、削れやすい設計」 を作ります。
これは意志の問題ではなく、 生理的にそうなるのです。
まとめ
コルチゾールは、
- 敵ではない
- 必要なホルモン
ですが、
長く居座らせてはいけないホルモン
でもあります。
「頑張るほど太る」という現象は、
体が間違っているのではなく 設計が間違っている
というサインです。
次回は、 ここまでの全要素を統合し、 “削らず・壊さず・戻せる”体組成改善の全体像 を完成させます。
第6回|理解項目まとめ表(コルチゾール × 断食 × 脂肪)
| 項目 | 急性(短期) | 慢性(長期) | 結果として起きること |
|---|---|---|---|
| コルチゾールの役割 | ・血糖維持 ・エネルギー動員 ・生存適応 | ・回復抑制 ・分解優位 ・成長停止 | 短期は合理的 長期は体組成を悪化 |
| 断食との関係 | ・自然に上昇 ・適応反応 | ・常時高値化 ・危機モード固定 | 「頑張るほど削れる」 状態に移行 |
| 脂肪分解への影響 | ・一時的には進む | ・脂肪分解抑制 ・再蓄積促進 | 体脂肪が 落ちにくくなる |
| 内臓脂肪との関係 | ・影響は限定的 | ・内臓脂肪優先蓄積 ・腹部が残る | 「お腹だけ落ちない」 現象 |
| 睡眠・回復 | ・一時不足は許容 | ・慢性不足で固定化 | コルチゾールが 下がらなくなる |
| 他ホルモンとの関係 | ・AMPK↑ ・mTOR↓(一時) | ・AMPK慢性優位 ・mTOR長期抑制 | 筋・回復・代謝 すべてが停滞 |
| 主観的な感覚 | ・空腹 ・集中力低下 | ・疲労感 ・やる気低下 | 「努力してるのに太る」 と感じる |

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