第8回|食欲ホルモンはどう壊れるのか
リバウンドは、
体重が増えた瞬間に始まるのではありません。
実際には、 減量の最中にすでに準備が整っている のです。
その中心にあるのが、 食欲ホルモンです。
第8回では、
- レプチンとグレリンが何を制御しているか
- なぜ断食や極端な制限で壊れるのか
- ミネソタ飢餓実験と現代減量の一致点
を構造で理解します。
レプチンとは何か
レプチンは、
「十分にエネルギーがある」
という信号を、 脳に送るホルモンです。
主に、
- 脂肪細胞量
- エネルギー摂取状態
を反映し、
- 食欲を抑える
- 代謝を維持する
役割を持ちます。
つまりレプチンは、 「痩せても大丈夫かどうか」 を判断する指標です。
断食でレプチンが下がる理由
断食や長期カロリー不足では、
- 脂肪量が減る
- インスリン刺激が消える
ため、 レプチンは急速に低下 します。
この低下は、
「これ以上エネルギーを失うのは危険」
という警告です。
脳はこれを受けて、
- 食欲増加
- 代謝抑制
- 行動省エネ化
を同時に開始します。
グレリンが上がると何が起きるか
グレリンは、
「食べろ」
という命令を出すホルモンです。
断食や摂取制限が続くと、
- 基礎的な分泌量が上がる
- 食事刺激に過敏になる
という変化が起きます。
結果として、
- 空腹が強くなる
- 高カロリー志向になる
- 衝動的な摂食が増える
状態に入ります。
ミネソタ飢餓実験との一致
1940年代の ミネソタ飢餓実験では、
- 被験者は慢性的な空腹
- 食への執着
- 過食と体重急回復
を示しました。
重要なのは、
意志や性格ではなく 生理的に同じ反応が起きた
という点です。
現代の断食・極端な減量は、 規模こそ違えど同じ構造 を再現しています。
リバウンドは「失敗」ではない
ここまでの流れを整理すると、
- レプチン低下 → 危機信号
- グレリン上昇 → 摂食命令
- 代謝抑制 → 消費減少
という、 完璧に連動した回復設計 が動きます。
これは、
失敗ではなく「成功した生存反応」
です。
まとめ
食欲ホルモンが壊れるのではなく、
「壊さざるを得ない状況に追い込まれる」
のが実態です。
体重が戻る前に、
体はすでに戻す準備を終えている
という事実を理解することが、 設計の出発点になります。
次回はいよいよ最終回。 これまでの全スイッチを統合し、 断食が機能する条件と破綻する条件を完成させます。
第8回|理解項目まとめ表(レプチン × グレリン × リバウンド)
| 項目 | 正常状態 | 断食・強制減量中 | リバウンド準備状態 |
|---|---|---|---|
| レプチン | ・脂肪量に応じて分泌 ・食欲抑制 ・代謝維持 | ・急速に低下 ・危機信号として認識 | ・代謝抑制固定 ・食欲ブレーキ消失 |
| グレリン | ・空腹時に一過性上昇 ・食後に低下 | ・基礎分泌量上昇 ・感受性亢進 | ・慢性的空腹感 ・衝動的摂食 |
| 脳の判断 | ・安全 ・エネルギー十分 | ・危険 ・不足状態 | ・回復最優先 ・脂肪再蓄積指令 |
| 食行動 | ・適量で満足 ・制御可能 | ・空腹意識増大 | ・高カロリー嗜好 ・過食・早食い |
| 代謝・消費 | ・消費維持 | ・消費抑制開始 | ・低消費のまま摂取増加 |
| 体重変化 | ・安定 | ・減少 | ・急速回復(脂肪優先) |
| ミネソタ飢餓実験との一致 | ・該当なし | ・食への執着増加 | ・過食・体重超回復 |
| 本質的な理解 | 生理的に安定 | 生存防衛が起動 | リバウンドは必然 意志の問題ではない |

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