【第七回】厄年から老化は加速する?

老化が一気に進む「加速点」がある- ホルモン低下と回復力の分岐

老化は、
なだらかに続いていく現象ではない。

多くの人の人生には、
**はっきりとした「節目」**が存在する。

  • その前と後で、回復力が違う
  • 同じ負荷でも、結果が違う

この境目を、
ここでは 老化の加速点 と呼ぶ。


老化には節目がある

第3回で述べたように、
老化は曲線で進む。

だがその曲線は、
完全に滑らかではない。

多くの人で、

  • 40代後半〜50代
  • あるいはそれ以前

に、
傾きが急に変わる点が現れる。

この変化の中心にあるのが、
ホルモン低下だ。


ホルモンと修復力の関係

ホルモンは、

  • 若さを演出する物質
  • 性差を作る物質

ではない。

本質的な役割は、

修復を可能にする条件を整えること
にある。

ホルモンが十分にある状態では、

  • 炎症が収束しやすい
  • タンパク合成が進む
  • 血流・代謝が保たれる

つまり、

ダメージ < 修復

という関係が成立しやすい。


女性:閉経という明確な分岐点

女性の場合、
老化加速点は比較的はっきりしている。

それが
閉経だ。

閉経で起こること

  • エストロゲン急減
  • 皮膚のコラーゲン減少
  • 血管の柔軟性低下
  • 骨量低下
  • 筋量低下

重要なのは、

老化が「始まる」のではない
老化が「補正されなくなる」

という点だ。

それまでエストロゲンが担っていた
修復・緩衝機能が、
一気に失われる。


男性:見えにくいが確実な分岐点

男性には、
女性の閉経のような
一気の変化はない。

だがその代わり、

  • テストステロンの緩やかな低下

が、長期間続く。

男性で起こる変化

  • 筋量低下
  • 内臓脂肪増加
  • 炎症増加
  • 回復遅延

自覚しにくいため、

  • 生活を変えない
  • 負荷を下げない

結果として、

気づいたときには
老化が固定している

というケースが多い。


なぜここで老化が固定されやすいのか

ホルモン低下期に起こる問題は、
ダメージの質が変わることだ。

  • 炎症が長引く
  • 修復が遅れる
  • 完全に戻らない

これにより、

  • 小さな損傷が
  • 慢性的な構造変化へ

と変わる。

これが
不可逆老化への入口になる。


ホルモン補充を考えるときの前提

ここでよく出てくるのが、

「ホルモンを補えば若返るのでは?」

という発想だ。

だが前提を整理する必要がある。

ホルモン補充の本質

  • 若返りではない
  • 時間を巻き戻す医療ではない

ホルモン補充の役割は、

老化速度を緩めること

であって、

失われた構造を再生すること

ではない。


重要なのは「いつ」「何のために」

ホルモン補充は、

  • 若い頃と同じ状態を再現する
  • 無制限に続ける

ためのものではない。

重要なのは、

  • どの時点で
  • 何を守るために
  • どこまで補うのか

という
設計思想だ。


老化制御の視点での整理

老化加速点を超えた体では、

  • 同じ生活
  • 同じ医療
  • 同じ美容

が、
同じ結果を生まない

だからこそ、

加速点を知ること
その前後で戦略を変えること

が、老化制御の核心になる。


次回予告

次回は、

腸内細菌と老化制御

という、
見えないが強力な要因を扱う。

ホルモンだけでは説明できない
老化速度の個人差は、
腸内環境にまで広がっている。


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