老化が一気に進む「加速点」がある- ホルモン低下と回復力の分岐
老化は、
なだらかに続いていく現象ではない。
多くの人の人生には、
**はっきりとした「節目」**が存在する。
- その前と後で、回復力が違う
- 同じ負荷でも、結果が違う
この境目を、
ここでは 老化の加速点 と呼ぶ。
老化には節目がある
第3回で述べたように、
老化は曲線で進む。
だがその曲線は、
完全に滑らかではない。
多くの人で、
- 40代後半〜50代
- あるいはそれ以前
に、
傾きが急に変わる点が現れる。
この変化の中心にあるのが、
ホルモン低下だ。
ホルモンと修復力の関係
ホルモンは、
- 若さを演出する物質
- 性差を作る物質
ではない。
本質的な役割は、
修復を可能にする条件を整えること
にある。
ホルモンが十分にある状態では、
- 炎症が収束しやすい
- タンパク合成が進む
- 血流・代謝が保たれる
つまり、
ダメージ < 修復
という関係が成立しやすい。
女性:閉経という明確な分岐点
女性の場合、
老化加速点は比較的はっきりしている。
それが
閉経だ。
閉経で起こること
- エストロゲン急減
- 皮膚のコラーゲン減少
- 血管の柔軟性低下
- 骨量低下
- 筋量低下
重要なのは、
老化が「始まる」のではない
老化が「補正されなくなる」
という点だ。
それまでエストロゲンが担っていた
修復・緩衝機能が、
一気に失われる。
男性:見えにくいが確実な分岐点
男性には、
女性の閉経のような
一気の変化はない。
だがその代わり、
- テストステロンの緩やかな低下
が、長期間続く。
男性で起こる変化
- 筋量低下
- 内臓脂肪増加
- 炎症増加
- 回復遅延
自覚しにくいため、
- 生活を変えない
- 負荷を下げない
結果として、
気づいたときには
老化が固定している
というケースが多い。
なぜここで老化が固定されやすいのか
ホルモン低下期に起こる問題は、
ダメージの質が変わることだ。
- 炎症が長引く
- 修復が遅れる
- 完全に戻らない
これにより、
- 小さな損傷が
- 慢性的な構造変化へ
と変わる。
これが
不可逆老化への入口になる。
ホルモン補充を考えるときの前提
ここでよく出てくるのが、
「ホルモンを補えば若返るのでは?」
という発想だ。
だが前提を整理する必要がある。
ホルモン補充の本質
- 若返りではない
- 時間を巻き戻す医療ではない
ホルモン補充の役割は、
老化速度を緩めること
であって、
失われた構造を再生すること
ではない。
重要なのは「いつ」「何のために」
ホルモン補充は、
- 若い頃と同じ状態を再現する
- 無制限に続ける
ためのものではない。
重要なのは、
- どの時点で
- 何を守るために
- どこまで補うのか
という
設計思想だ。
老化制御の視点での整理
老化加速点を超えた体では、
- 同じ生活
- 同じ医療
- 同じ美容
が、
同じ結果を生まない。
だからこそ、
加速点を知ること
その前後で戦略を変えること
が、老化制御の核心になる。
次回予告
次回は、
腸内細菌と老化制御
という、
見えないが強力な要因を扱う。
ホルモンだけでは説明できない
老化速度の個人差は、
腸内環境にまで広がっている。

コメント