「ケトジェニックは筋肉が落ちる」
これは、今でも広く信じられている通説です。
しかし実際には、
条件を満たしたケトジェニックは、筋分解を抑制しやすい
という側面を持っています。
本記事では、
- ケトーシスとは何が起きている状態なのか
- なぜ筋分解シグナルが入りにくくなるのか
- 医学的に見た安全な運用期間
を、生理学ベースで整理します。
ケトーシスの生理学的背景
ケトジェニックとは、
単に「糖質を減らす食事法」ではありません。
正確には、
主エネルギー源を
グルコースから脂肪酸・ケトン体へ切り替えた状態
を指します。
通常の低カロリー減量との違い
通常の低カロリー・低脂質減量では、
- 血糖は下がる
- 脂肪供給は追いつかない
- エネルギー不足が発生する
結果として、
- 糖新生の材料として筋肉が使われる
- コルチゾールが上昇する
という流れになります。
一方、ケトーシスでは、
- 脂肪酸供給が安定する
- ケトン体が脳・筋の燃料になる
ため、
筋肉を削って血糖を維持する必要性が下がります。
ケトで筋分解が抑制される機序
ケトジェニックが筋肉を守りやすい理由は、
単一の要因ではありません。
① 糖新生需要の低下
ケトーシスが成立すると、
- 脳のエネルギー需要の大部分をケトン体が担う
- 血糖の最低維持量が下がる
結果として、
筋肉由来アミノ酸を
無理に使う必要がなくなる
② インスリンの「低値安定」
インスリンは、
- 高すぎると脂肪を溜め
- 低すぎると筋分解が進む
という二面性を持ちます。
ケトジェニックでは、
- インスリンは低い
- しかし完全にゼロにはならない
という安定帯に入りやすく、
エネルギーは脂肪から供給され、
筋分解シグナルは過剰に入らない
という状態が成立します。
③ コルチゾール依存の低下
カロリー制限下で最も問題になるのは、
- 慢性的なコルチゾール上昇
です。
ケトジェニックでは、
- エネルギー不足が起こりにくい
- 血糖維持のためのストレス反応が減る
ため、
筋分解を促すホルモン環境になりにくい
という利点があります。
医学的に考える安全期間(3〜6か月)
ケトジェニックは、
永久に続ける食事法ではありません。
医学的・臨床的には、
3〜6か月を一区切りとする
という考え方が現実的です。
理由
- 甲状腺ホルモンの低下リスク
- 電解質バランスの偏り
- 食事多様性の低下
これらは短期では問題にならなくても、
長期では代謝適応を引き起こします。
そのため、
- 減量フェーズ:ケトを利用
- 維持フェーズ:段階的に解除
というフェーズ設計が重要になります。
まとめ
ケトジェニックは、
- 筋肥大に最適な食事法ではない
- しかし筋肉を守りながら脂肪を減らすには有効
という明確な立ち位置を持ちます。
正しく使えば、
カタボリックを最小化しながら
脂肪だけを削る
という設計が可能になります。
次回は、
「ケト解除後に体重が戻る本当の理由」
リバウンドの正体と、解除設計について解説します。
| 理解すべき項目 | 誤解されがちな理解 | 実際に起きていること | 結果として見える現象 | 補足・本質 |
|---|---|---|---|---|
| ケトジェニックの本質 | 糖質を抜くダイエット | エネルギー基質を脂質・ケトンへ移行 | 空腹感低下・エネルギー安定 | ケトは代謝状態の切り替え |
| ケトーシス | 特別な燃焼モード | 脳・筋がケトン体を利用 | 低血糖症状が出にくい | 糖依存からの脱却 |
| 筋分解の主因 | カロリー不足 | 糖新生要求によるアミノ酸動員 | 筋肉が削られる | 筋分解=エネルギー+シグナル |
| ケトでの糖新生 | 必ず筋肉が削られる | グリセロール・乳酸を優先利用 | 筋分解が最小化 | 筋肉は最後の供給源 |
| インスリン低下 | 筋肉が減る | 低インスリンでも感受性は維持 | 筋量が保たれる | 分泌量と作用は別 |
| AMPK | 活性化=筋肥大不可 | 省エネ・脂肪酸利用を促進 | 無駄な分解が減る | 減量期では有利 |
| mTOR | ケトでは完全に止まる | 刺激・アミノ酸で局所的に活性 | 筋量維持〜微増 | mTORは常時ON不要 |
| AMPK × mTOR | 完全に相反する | 時間・条件で役割分担 | 同時破綻は起きにくい | 両立は可能 |
| コルチゾール | ケト=強ストレス | 血糖安定で過剰分泌が抑制 | 筋分解抑制 | 設計次第で味方 |
| 空腹ホルモン | 空腹が強くなる | グレリン低下・満腹維持 | 過食しにくい | 継続性の鍵 |
| 筋トレとの相性 | 相性が悪い | 強度維持で刺激は十分 | 筋量維持〜微増 | ボリューム設計が重要 |
| 医学的な安全期間 | 永久に続けられる | 代謝・内分泌の適応限界あり | 3〜6か月が目安 | 維持期前提で使う |
| 全体結論 | ケトは筋肉を削る | 筋分解トリガーを減らす | 減量中でも筋量維持 | 「守る減量」の代表例 |

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