【第四回】老化速度を操る

老化速度は環境で書き換えられる― エピジェネティクスという第二の設計図

「老けやすい体質だから仕方ない」
「遺伝だからどうにもならない」

老化について、
こう考えている人は多い。

だが現代科学は、
この前提をすでに否定している。


遺伝子は固定されていない

私たちは、
両親から遺伝子を受け取って生まれる。

この事実だけを見ると、
老化も寿命も最初から決まっているように思える。

しかし重要なのは、

遺伝子を「持っている」ことと、
それが「使われる」ことは別

という点だ。

同じ遺伝子を持っていても、

  • 活性化される人
  • ほとんど使われない人

が存在する。

この「使われ方」を決めているのが、
環境である。


エピジェネティクスとは何か

― 平易に言うと

エピジェネティクスとは、

遺伝子のスイッチの入り切りを制御する仕組み

のことだ。

DNAの配列そのものは変わらない。
だが、

  • どの遺伝子を
  • どのくらい
  • いつ使うか

は、環境によって変わる。

例えるなら、

  • 遺伝子=楽譜
  • エピジェネティクス=演奏の仕方

同じ楽譜でも、
速く激しく演奏すれば消耗するし、
丁寧に演奏すれば長く保つ。

老化とは、
遺伝子の演奏スピードの問題でもある。


老化を早める環境/遅らせる環境

エピジェネティクスは、
日常の条件に強く反応する。

老化を早める環境

  • 慢性的な高血糖
  • 睡眠不足
  • 強い心理的ストレス
  • 過剰なカロリー
  • 炎症を繰り返す生活

これらは、

  • 老化関連遺伝子を活性化し
  • 修復系遺伝子を抑制する

つまり、
老化スイッチを入れ続ける環境だ。


老化を遅らせる環境

一方で、

  • 血糖の安定
  • 十分な睡眠
  • 適度な空腹時間
  • 過剰でない運動
  • 炎症を溜めない食事

これらは、

  • 修復・耐久系遺伝子を働かせ
  • 老化スイッチを抑える

老化を遅らせるとは、
特別なことではない。

遺伝子が消耗しにくい条件を作る
それだけだ。


食事・睡眠・ストレスの影響

エピジェネティクスに最も強く影響するのは、
派手な医療ではない。

食事

  • 食べすぎ
  • 糖質過多
  • 常に満腹

これらは、
老化を加速するシグナルになる。


睡眠

睡眠不足は、

  • DNA修復を阻害し
  • 炎症を増やし
  • ホルモンを乱す

老化を進める最短ルートの一つだ。


ストレス

慢性的ストレスは、

  • コルチゾールを上げ
  • 炎症を固定化し
  • 老化遺伝子を刺激する

ストレス管理は、
精神論ではなく
老化制御そのものだ。


「才能」ではなく「条件」の問題

老化が遅い人を見ると、
人はこう言う。

「体質がいい」
「遺伝がいい」

だが実際には、

老化しにくい条件で
長く生きてきただけ

という場合がほとんどだ。

逆に、
老化が早い人は、

  • 意志が弱いわけでも
  • 努力が足りないわけでもない

ただ、
老化を加速する条件に
長くさらされてきただけ
だ。


次回予告

次回は、
この「条件」の中でも
もっとも誤解されているテーマ、

断食は若返りなのか、
それとも寿命の前借りなのか

を扱う。

老化を遅らせる行為が、
時に老化を早める理由を解説する。


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